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グローバルな情報展開と翻訳関連データの標準化(1)

2011年1月21日 更新
<株式会社日本ユニテックの技術情報サイト「X plus」より転載>
転載元URL:http://www.utj.co.jp/x-plus/
グローバルな事業展開をしている企業にとって、製品やサービスそのもの、それに付随する説明書や様々な資料、Webサイトなどを複数の言語で展開することは不可欠になっている。そして各言語で提供する情報を最新のものにしておくことは、単にサービス向上のためだけでなく、製造物責任(PL, Product Liability)や企業の社会的責任(CSR, Corporate Social Responsibility)を果たすためにも必要である。こうした迅速で高品質のグローバルな情報展開を実現するには、従来の「翻訳」プロセスのシステム化を一段と図らなければならない。本稿では、「翻訳」プロセスのシステム化の動向を、翻訳関連データの標準化という視点から考察する。
1. もう一つのグローバリゼーション(Globalization)

大辞林(三省堂)の定義によると、グローバリゼーション(Globalization)とは、「政治・経済・文化などが国境を越えて地球規模で拡大すること」をいう。

現代日本語の専門研究機関である独立行政法人国立国語研究所の「外来語」言い換え提案では、グローバリゼーションに「地球規模化」 という用語が提案されている。「グローバル化」という言葉もしばしば使われる。現実に、国や言語や地域文化の違いを越え、同質のシステムが地球規模で構築されつつある。

言うまでもなく、この現代的な動向のインフラとなっているのは、インターネットをはじめとする地球規模の情報通信網である。グローバリゼーションが「自由」を掲げながら強者が弱者を呑み込む新たな覇権主義を生み出していることの是非はともかく、個人や職業人として、また企業や団体として、この現実に対処していかなければならない。

一方、「グローバリゼーション」という語が、こうした社会経済的な意味での変動とは別の意味で使われている分野がある。それはソフトウェア工学および翻訳業務という分野であり、その分野において「グローバリゼーション」は製品およびサービスをグローバルに展開するプロセスを指して使われる。

あるソフトウェア製品を開発し、日本だけではなく、米国やヨーロッパ、また中国や韓国において販売する計画を立てたとする。日本語環境では実用に耐えるものであったとしても、様々な国で実際に使用できるレベルにするには、少なくとも次のような作業が必要となる。

メッセージや画面のメニュー、説明書などの各国語化(翻訳)

ソフトウェアが使用する文字コード、日付、時刻、通貨などの工夫(ソフトウェア設計)

各国の法律要件の遵守(コンプライアンス)

メッセージや画面のメニューや説明書などの翻訳は、グローバリゼーションにとって不可欠である。もちろんグローバリゼーションには、英語文化の地球規模化という側面があることは否めない。日本語においても、英語の用語をカタカナ表記にして通用するようになっている。それでも、製品やサービスの現地における競争力を高めるには、現地の言語でメッセージやメニューが表示されるほうが受け入れられやすいのは当然である。このプロセスをローカリゼーション(localization)という。

LocalizationをL10N(エル テン エヌと読む)とも省略する(Lからnまで全部で10文字あることを示す)。翻訳作業はL10Nの一部である。

メッセージ等の翻訳を前提とする場合、ソフトウェア製品のコードと翻訳対象部分のテキストとを分離しておくなら、翻訳作業を効率的に行うことができる。コードの中にメッセージが埋め込まれているなら、翻訳がたいへんになることは明らかである。

このようにグローバルな展開を計画しているソフトウェアの場合、設計の段階からグローバリゼーションを考慮する必要がある。これは翻訳だけに限らない。他にも、日付の表記や時刻の処理(グリニッジ標準時との差異など)、通貨の扱い、文字を並べるときの字方向(アラビア系は右から左に文字が流れる)、内部で処理する文字コードの体系(ユニコード)など、設計段階から方針を決めて実装していかければならない点がある。

このように設計段階からソフトウェアをグローバルに展開できるようにすることを国際化(internationalization)(3)という。これも省略してi18n(アイ エィティーン エヌ)とすることがある(ロジックはL10Nの場合と同じである)。

実際に各国で使用できるようにするには、各国の法律に準拠したものにもしなければならない。たとえば著作権表記、製品の責任範囲、製品使用前の同意文書など、国ごとに異なる法律体系に準拠した文書や仕組みを組み込む必要が生じることもある。いわゆるコンプライアンスである。当然のこととはいえ、グローバルに情報展開するには、これ以外にも、各国の法律面の考慮が必要になってくる。これもローカライゼーションの作業の一部である。

したがって、製品やサービスをグローバル展開する企業 にとっては、製品やサービスの「グローバリゼーション」を行うことになるが、ソフトウェアの開発を担当するベンダーにとってそれは「国際化」の受託であり、翻訳業務を担当するベンダーにとってそれは「ローカリゼーション」の受託を意味する(図1参照)。

図1:グローバリゼーションとローカリゼーション
図1:グローバリゼーションとローカリゼーション

翻訳プロセスを含む、こうした「グローバリゼーション」は、社会経済的なグローバリゼーションの下部構造をなしている。インターネットを含め、下部構造としての技術的なグローバリゼーションをもとに、社会経済的なグローバリゼーションが進行しているといえる(図2参照)。インターネットが情報流通における物理的な距離という障壁を取り除くことになったとすれば、この「グローバリゼーション」は情報流通における言語の障壁を取り除く過程であるといえるだろう。

図2:グローバリゼーションの上部構造と下部構造
図2:グローバリゼーションの上部構造と下部構造

これから「グローバリゼーション」について、特に「ローカリゼーション」という視点から最新の標準化動向を調べることにする。


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