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XMLDB解説

XMLDB、そのアナーキーな魅力 <第1回:XMLの潮流とXMLDBユーザ>

著者:株式会社ジャストシステム コンサルティング部 部長
加藤 哲義
(旧 株式会社サイバーテック 取締役)   

 

 

ごあいさつ

xmldb.jp、ご閲読の皆様、はじめまして。株式会社サイバーテックの加藤哲義と申します。弊社ではCyber Luxeon(サイバーラクセオン)というXMLネイティブデータベース(XMLDB)を開発、販売しています。この製品のベースとなっているのが、1999年にいち早く市場に登場した「eXcelon」(エクセロン)というXMLDBです。これはもともとは米国オブジェクトデザイン社(現在プログレス社)の製品でしたが、弊社はこれを一昨年買収し日本製XMLDB、Cyber Luxeonとして再生させました。

私は前職で、この元祖XMLDBといえるeXcelonを日本市場にローンチングさせる責任者にアサインされ(1999年のことです)、それ以来足掛け8年XMLDBの市場拡大に関わってきました。

オラクル社やIBM社が本格的にXMLDBの市場に参入してきたこともあり、このところまたXMLDBが盛り上がりを見せてきました。また、XMLコンソーシアムでは「XMLDB勉強会」が立ち上がり、非力ながら私もこれにリーダーとして参加させていただいていますが、そういう場でもXMLDBのユーザ事例や使用現場の生の声を聞きたい、という要請が多く聞かれるようになりました。

「XMLDB、そのアナーキーな魅力」と題して、私自身が現場で関わってきたこれまでの事例から、現在の状況、さらには今後の可能性までご紹介するつもりです。本稿が、お客様の課題解決のきっかけとなり、さらにはXMLDB市場の振興に役立てれば幸いです。

 

 

XML DBの登場

W3CによってXMLの規格が制定されたのが1998年、その翌年にXMLDBの先陣をきって市場に登場したのが米国オブジェクトデザイン社(現プログレス社)のeXcelonでした。その後、しばらくして陸続とこのカテゴリの製品が生まれてくるのですが、もともとオブジェクト指向DB「Object Store」のメーカーであった同社では、階層的なXMLデータを、DOM構造体としてDB化することを安々とし遂げることができ、1999年という早期にXMLDBをリリースすることができました。

これはある意味、リレーショナル・データベース(RDB)に市場を奪われてきた同社の復権を賭ける試みであり、その後、社名をオブジェクトデザイン社からエクセロン社に替えるということからも、eXcelonとXMLにかける意気込みがうかがわれました。

このeXcelonは良くも悪くもXMLDBのスタイルを定めた製品といえます。すなわち


 

  • XMLデータのスキーマレスなDB化が可能であること。
  • 構造が異なるXMLデータもDB内では共存できること(マルチスキーマ)
  • 格納後、どのノードにおいてもスキーマ拡張が自在であること
  • XPath, XQueryによる検索が可能なこと
  •  

    といったことです。

    これらは当時RDBに慣れ親しんできたエンジニアにとっては衝撃的な事件でした。

    1999年当時、eXcelonのセミナーでデモを見せると、来場者はまず目を丸くし、その後、賛同者と批判者の真二つに分かれるのでした。ウエルフォームドのXMLであれば、RDBでいうところのテーブルのような器をあらかじめ用意することなくDB化できる、ということに、新しい可能性を直感したユーザと、逆にそこにアナーキーな危険を感じるユーザでした。

    前者は、これまでのシステムのあり方にいささか窮屈な思いや反感を感じていた方々です。これが製造業におけるエンジニア層に多かったわけです。彼らはXMLDBユーザの先達になっていきました。

     

     

    草の根的に企業内で普及し始めたXMLDB

    1998年XMLが登場して以来どのように市場に拡まっていったのか、これは大きく2つの傾向が存在しました。ひとつは上からの流れ、もうひとつは、下からの流れです。

    上からというのは、政府や業界団体において政策的にXMLのスキーマが定められ、これを標準語として企業間、あるいは企業・政府間でデータ交換する利用方法です。

    一方、下からというのは、企業内の先覚的ユーザが、自分で裁量できる対象を自由にXMLで表現し、XMLDBに格納してシステム化をはかる、草の根的な拡がり方でした。これは企業内データ管理をXMLで再構築するという用途です。(図1参照)。

     

     

     

    ▲図1:XML利用の2つの流れ

     

     

    当時から私は、上からのXML利用よりは、下からの方にXMLDBの商機を感じました。B2BやB2Eでは必ずしもXMLDBは必要としない、なぜならばXMLのデータ操作がファイル単位でいいからです。XMLを受け取ったら即座に変換して企業内システムに受け渡せばよく、XMLは揮発してしまっても問題無い、せめてバックログとしてファイルで保存しておけば十分なのです。したがってファイル管理か、RDBのCLOBフィールドに格納しておけばいのです。データ操作の粒度が、ファイルのインサート、上書き、削除というファイル単位でいい場合、XMLDBは必ずしも必須ではないのです。

     

    さらにデータ交換の世界ではXMLを利用しているとはいっても、いったん決めたデータの形、仕様をそうそう変えることをしないものです。各所に与える影響力が大きいからですね。したがってデータの構造変更を柔軟に許容するというXMLDBの持ち味を必要としないのです。

     

    一方、企業内の草の根ユーザにとって、XMLDBは福音のように映ったものでした。彼らは自分が扱うモデルがとりとめもなく多様であり、どんどん増殖しまた形を変えていくことに閉口していたのです。

     

    その顕著な例が製造業です。製品のカテゴリは多岐に渡り、カテゴリ毎に製品の属性は異なります。また一つの製品は多くのモジュールやサブシステム、部品から構成され、複雑な階層性を持っています。さらに製品は日々機能向上を余儀なくされるため、仕様はどんどん変更され、それに伴って製品カテゴリや製品属性の見直しも頻繁です。

     

    以上のように、データの多様性、階層性、可塑性が必須である業務に携わってきたエンジニアにとって、XMLDBは従来のシステムの限界をブレイクする起爆剤に感じられたのでした。

     

    そこでは特に業界標準とかポリティカルな制約に縛られること無く、業務の現場で自由にXMLのスキーマを定義し、XMLDBに容れてシステム化をはかっていきました。

     

    そのシステムでは、XMLファイルの中のどのノードやエレメントに対してもデータ処理(参照、更新、追加、削除)が自由にできなくてはいけません。つまり処理の粒度が細かいのですが、XMLDBはこれを実現してくれます。

     

    XMLの拡がりのなかで、下からの潮流にXMLDBは必要とされたのです。(表1参照)

     

     

    表1 : XML利用形態の性格

      B2B、B2G 企業内利用
    影響範囲 業界、グループ傘下 自社、自部門
    決裁者 海外、トップ判断 担当判断、部門長決済
    データスキーマ 既存、標準仕様 自社仕様
    推薦者 外圧、政策的 社内技術的先覚者
    スキーマ変更 一旦決まれば固定的 変更しがち
    XML-DB あえて必要でない 必要


     

    XMLDBのユーザ像

    eXcelonはしばらくの間、唯一の商用XMLDBとして独走状態であったためXML黎明期の先進ユーザに数多く導入されました。eXcelonのユーザリストには日本を代表する大企業、特に製造業や通信業のトップ企業が名を並べています。

    私は営業の現場でそういう方々と直接触れ合う機会が多かったので、XMLDBを導入する方のプロファイリングができるようになりました。それは、私の主観と独断によるものなのですが、次のような人物像なのです。

     

  • 業務への真摯な情熱(負けず嫌い)
  • 現状への問題意識(常に現状に不満足)
  • チャレンジブル(新しもの好き)
  • リーダーシップ(妥協できない)
  • ビジョンを追う(思い入れの強さ)
  • 構造的思考(性格は割りとアバウト)
  • 現場志向(在野志向)
  •  

     

    一言で言うと「熱いエンジニア」です。また、年代的には50代の方が結構多く、意外と団塊の世代の方が、XMLDBのアナーキーさに関心と理解を持たれることも多いのです。一般にはXMLは新しい技術なので若い世代の関心が強いのではと思われるのですが、XMLDBの本質を理解され、それを現業の中に活かそうとされるのは、長年現場で苦労されてこられた、真摯な年配者の方でもあるのです。

     

    実際、現場の業務が本当に分かっているユーザでないと、そのシステムにXMLやXMLDBを使う価値が分からないのではないか、と私は思うのです。単にデータ交換でXMLを介在させるシステムを考えるのはたやすいものなのです。それに対し、あえてXMLDBを使うこと・・・、これはXMLの意義を考えつくすことなしには行えません、つまりXMLDBを考えることはXMLの真価に立ち返ることに他ならないのです。したがって初期のユーザ事例には、XMLDBの可能性を示唆するかけがえのないヒントが隠されています。

     

    つづく

    株式会社サイバーテック

    「ITによる社会貢献」を実現させるため、日本を代表する魅力的なITカンパニーを目指しているXML分野のリーディングカンパニーです。主に各種ミドルウェアとフィリピン・セブ島の自社開発センターを活用した受託開発及び、国産のXMLデータベース製品「CyberLuxeon」(サイバーラクセオン、旧称「eXcelon」)の製品企画、開発、拡販活動を行っています。2006年12月には、日本語全文検索「ターボサーチ機能」を搭載した最新版の「Cyber Luxeon Ver2.0」を出荷しております。

    http://xml.cybertech.co.jp/

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