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スプレッドシートのように構造と値が一体で織り込まれているデータ表現にXMLがあります。スプレッドシートが項目と値どちらもセルで一元的に表現しているように、XMLは項目と値をテキストだけで記述します。たとえば先程AさんがつくったエクセルシートのデータをXMLで記述すると次のようになります。
XMLもまた構造の多様化や見直しの自由度の高いデータ形式です。新しい項目が必要になったらテキスト行を挿入する感覚で、その項目をタグにして値をくくればいいのです。したがって車ごとにことなる消費者特性も自由に表現できます。ベテラン営業マンの頭のなかには商品ごとに最適化されたナレッジが存在するのでしょう。
XMLがMS-Excelと大きく違う点は、アプリケーションソフトから自立したデータとしての、流通性、再利用性、永続性をもっていることです。アプリケーションソフトの枠を超えて、他システムとの連携がしやすいということ、つまりシステム化ができるということです。
XMLでモデル化したナレッジのシステム化、すなわち公共化のためには、XMLを蓄積し検索、更新するためのデータ管理機構とヒューマンインターフェース(GUI)を作らなくてはなりません。そしてどの局面においてもXMLの真髄である多様性、加工性を犠牲にしない細心の工夫が必要となります。
XMLが出現して以来、Cyber Luxeon・NeoCoreをはじめとするXMLネイティブデータベース(XMLDB)と呼ばれる製品が登場してきました。XMLデータをリレーショナルDBのようなTabel要素に還元することなく、XMLありのままの階層構造でDBオブジェクトにしてくれます。いったんDB化されたXMLデータは排他制御やロールバックといった保全性や、タグの構造性を活かした効果的な検索(XPath、XQuery)が可能になります。XMLの構造を改変した場合は新しいXMLファイルを再度データベースに入れ直すだけでいいのです。また通常のデータベースのように部分更新も可能です。XMLDBはデータ構造に厳格な整合性を求めないので、画一化しきれないナレッジの格納庫として適しています。
XMLDBの登場によってどんな複雑なXMLデータでもDB格納の手間は無くなったので、あとは対象モデルをどうXMLで表現するか(スキーマの決定)、そしてそれをどのようにして発生させるか(タグの値の充当)、ということに注力すればよいわけです。
XMLのシステム化とは概念的にはXMLのタグ値を各所から集約するプロセスといえます。たとえば商品の基本属性は既存システムからデータ連携ツールを使って自動的にXML化します。そのXMLをWEB帳票で開くと、タグとリンクされたフィールドに値が表示されます。現場はこのデータを参照しながらも、経験値を同一帳票の別フィールドに入力する、こうした過程を経て組織知の集約たるXMLデータが完成します。これはXMLDBに格納されて組織的なナレッジベースとなります。
Aさんが商談の成約体験からワンボックスワゴンの顧客属性に「ペット」という新しい切り口を発見したとき、それを組織のナレッジとして公共化するためには、その新しい「ペット」項目を誰もが見えて使えるようになることが必要です。つまりWEB-GUI上に新しい項目のフィードが現れ、誰もがその項目で検索でき、データ入力できるようになる、ということです。そのフィールドは現場から組織にフィードバックされる新しい眼です。
前述のXML電子帳票は新たな項目(タグ)が発生した場合、帳票に新しいフィールドを追加し、マウスで新しいタグとリンクすることで、そのフィールドを通じて新しい項目を検索したり、データ入力することができます。新たなWEB帳票から発生するXMLデータは以前と構造が変わっているわけですが、XMLDBがそのまま受容してくれるため、あたかも新しい項目を付加したEXCELシートのデータがそのままDB化され、組織的にシェアされるようなシステムが実現します。それはデータ構造とGUI、DBが一丸となって変化を吸収し続けるシステムなのです。
ナレッジとは現場で生き続ける、生成発展していく情報のことです。それを入れる器自体にも変容を要求します。創造的な情報システムとは情報を入れる器の形そのものをユーザーが見直し、加工できる自由を前提とします。器の固定、形の膠着はナレッジの死を意味するからです。
データの構造を変更しやすいXMLは、とらえどころのない不定形なナレッジを表現する言語として最適です。いったん表現されたナレッジはその形に則って現場で入力され、あるいは既存システムから連携的に生成されてデータの母数を増やしていきます。それは組織のなかで自由に検索、参照される有意な知的資産になります。時に形そのものが見直され、新たな形でナレッジを表現し、また参照することが組織的に承認され普遍化する そのサイクルがビジネスや研究のスピードに追随できるかどうか、これが企業ナレッジシステムの指標になります。
ある事象にこれまで誰も顧みなかった新しい属性を見い出すこと、事象を説明するために新しい形を創造すること、形の発見は価値の発見でもあります。営業マンのノウハウのようにあらかじめ構造が特定できない課題、現場で形を作り変えていくべき課題に対して、今回のアプロ-チは一つの示唆となると思われます。私たちは、XML技術の粋を尽くして、そんな生き続ける企業ナレッジシステムを実現していきたいと思います。
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