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XMLデータベースとWeb 2.0の甘い関係 「第2回 Web2.0とデータベース」

データに着目するWeb 2.0

前回紹介したWeb 2.0の7つの特徴を見ると、個別の技術への言及が少ないことに気付くと思う。たとえば「集合知」は、利用者が持っている小さな知識をあつめることであって、直接技術と関わる言葉ではない。同様に、「ソフトウェア・リリースサイクル」も、ソフトウェアという技術の産物を対象にした言葉ではあるものの、その意図はリリースするサイクルが消滅するというもので、直接技術に関わる話題ではない。そのように考えれば、Web 2.0とXMLデータベースとの関わりは、さほど深いものではないように思えるかもしれない。

しかし、Web 2.0とデータの関わりは深いものがある。たとえば『データは次世代の「インテル・インサイド」』という言葉は、データこそがWeb 2.0サービスの力の源泉であると言うことを示す。これは非常に特徴的なことである。なぜかといえば、何を最重要と考えるか、時代と共に変化してきたが、これは新しい変化であるからだ。

当初、コンピュータシステムで最重要視されたものはハードウェアだった。ハードウェアが圧倒的に高価であり、国家や大企業しか購入できない時代、ソフトウェアはハードウェアのオマケでしかなかった。この時代を代表するブランドが、かつて世界1の巨人と言われたIBMである。

次に、ソフトウェアが最重要視される時代が来た。ハードウェアが安くなると、システムが生み出す価値の鍵をソフトウェアが握るようになり、ソフトウェアを実行するためにハードウェアを買うという時代になった。この時代を代表するブランドが、マイクロソフトだと言える。

そして、Web 2.0の時代になると、最重要視されるものはデータになる。ソフトウェアがあって当たり前のありきたりの存在になると、もはやそれだけでは十分な利便性を提供できない。そこで問われるのは、そのソフトウェアを通じてどのようなデータを提供できるのかである。たとえば、Amazonは膨大な数の商品情報のデータを持っているが、それを検索できることがAmazonの強みである。「あなたの蔵書の情報を入力してください」というデータ抜きの書籍検索ソフトでは太刀打ちできない強みである。

データは最重要資産

Amazonの書籍情報データは、Amazonのサイトを提供するWebシステムのソフトウェアを通じて提供されている。では、Amazonにとって、このソフトウェアは大切なものだろうか。自分が持つデータの価値を使って、このソフトウェアを使わせることを通じて、Amazonは収益を上げているのだろうか?

そうではない。Amazonは自社が扱う商品さえ売れれば収益が上がる。別にこのソフトウェアが使われなくても商品さえ売れればよいのである。そのため、アフィリエイトと呼ばれるサービスを通じて、Amazonから商品を購入するという目的と抱き合わせてデータが提供されているのである。つまり、自社サイトにAmazonのデータを表示する機能を付加し、それを通して商品を購入可能とすることができる(ただし、最終的な購入申し込みの手順はAmazonのサイトで行うことになり、ここでAmazonのソフトウェアは必ず使用される)。このようにしてAmazonの商品を売った者は、販売価格の一部が戻されて収益となる。つまり、Amazonは有益なデータを提供する代償として、他人が自社の商品を売ってくれるという恩恵に浴することができる。

このようなシステムは、インターネットで商品を売ってみたいと思っている人や企業には有益である。僅かなコストで、自分で商品の在庫を持つこともなく、膨大な商品を売ることができるのである。しかし、利益は決して厚くはない。そこで、自分で商品を仕入れて売ろうと思ったとしよう。だが、この方法は取ることができない。なぜなら、AmazonのデータはAmazonの商品を売るという条件で提供されたものであるため、自分で仕入れた商品を売るためには使用できないのである。

つまり、有益なデータの支配権を握り続けることで、お金の流れにも大きな影響力を行使できるということである。データこそが最重要資産なのである。

最重要資産の守り方

ここで疑問として出てくるのは、それだけの価値のある資産をどのように守るかである。通常のプログラムを資産として守ることはさほど難しくはない。配布される実行ファイルからソースコードを復元することは難しく、実行ファイルをそのまま転用すればすぐに分かってしまうからである。しかしデータは違う。データはもともと人間が見て分かるものなので、コピーするだけで使い放題である。更に、書籍のタイトルなどの一般に公開されている情報は、「自分で入力した」と言い張ればコピー行為を隠すことすらできる。

多くのWeb 2.0サービスでは、このような問題に対して、いわゆるWebサービス(あるいはAPI)を通じてデータを提供することで対処している。ここでいうWebサービスとは、人間が使うサービスではなく、プログラムからアクセスするサービスを意味する。SOAP(Simple Object Access Protocol)や、いわゆるREST(Representational State Transfer)によって、遠隔地のサーバ上にある情報を取得する手段である。

Webサービスを通してデータを提供すると、いつでも最新の情報にアクセスできる機能性を提供できる。たとえば、書籍情報を提供する場合、データ一式を引き渡すと引き渡した後の新刊の情報は含まれない。しかし、Webサービスを使って、常にデータが更新されるサーバにデータを問い合わせれば、いつでも最新の新刊を含むデータにアクセスできる。そして、そのようにして取得されるデータは常に断片的なものに過ぎず、丸ごとコピーするために使うことはできない。

しかも、丸ごとコピーが可能であっても、それは得策ではない。コピーした瞬間にデータは陳腐化していくからである。常にサーバにアクセスしていれば取得できる新刊の情報は含まれないわけである。

このような形で、最重要のデータは抱え込んで決して手放さないが、そのデータをWebサービス経由で自由に使わせるのがWeb 2.0的な流儀である。

次回予告

ここまで読めばお分かりの通り、Web 2.0で最も重要な資産はデータである、それはWebサービスを経由して外部に提供される。このようなシステムを運用することを考えれば、どのようなものが必須になるか賢明な読者の方々は既にお分かりだろう。

そう......。それはデータベースそのものである。

次回は最終回として、どのようなデータベースがWeb 2.0で求められるのかと考えてみよう。


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