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XMLデータベースとWeb 2.0の甘い関係 「最終回 ノンストップで疾走するデータベース」

変えられない・しかし変わらねばならない

前回は、Web 2.0時代の最重要資産はデータであることを説明した。そして、そのデータをいわゆるWebサービス(API)として他者のプログラムからアクセス可能にする方法がよく使われることを説明した。

このようなデータの使われ方を、データベース提供という観点から見てみよう。

まず、このようなデータベースは容易に構造を変更できないことに注意を払おう。もちろん、同一のインターフェースを維持しつつ内部構造を変えることはできるが、その場合でも完全に同一の機能性を維持しなければならない。なぜ変更ができないのかといえば、多数の外部のプログラムから常時アクセスされるからである。多種多様な個人や組織が作成した全てのプログラムを、あるタイミングで全て同時にバージョンアップすることは、現実的に実行できることではない。つまり、常に旧バージョンの仕様でアクセスしてくる外部プログラムが存在する可能性を排除できない。そのため、たとえ機能強化等の変更を行う場合でも、互換性を堅持しなければならない。その際、サービスが止まらなければなお良い。

さて、容易に変化できないという特徴があるにも関わらず、実はこのデータベースは常に変化への要求に晒される。新しいデータの追加の要求には、データ構造の変更の要求も付随する可能性がある。また、ライバルとの競争の都合上、機能強化が求められることもあるだろう。いずれにしても、このデータベースは変化しなければならない。

スキーマレスXMLデータベースという解

容易に変化してはならないのに、変わらねばならない。更に、可能なら止まらない方が良い......、という要求は極めて過酷である。このような要求を解決することは極めて難しい。

たとえば一般的なRDBMSなら、変化の要求に対して正規化のやり直しが発生するだろう。その結果として、データベースの構造が変化する場合は、データベースの変換を行わねばならない。その間、サービスが停止する可能性もあり得る。更に、旧バージョンのサービスをエミュレーションして互換性の維持を行う互換サービスも用意しなければならない。そして、この互換サービスが本当に問題なく全てのケースで互換であるかは、たいていの場合実際に稼働させてみなければ分からない。しかも、これだけの大仕事は、随時発生しうるのである。非現実的な手間とコストが発生する可能性がある。

だが、この要求に対応しうるデータベースは存在する。それが、スキーマレスXMLデータベースである。スキーマレスXMLデータベースは、正規化の手順が存在せず、どのようなデータもあるがまま格納することができる。その結果、旧バージョンのデータと新バージョンのデータを混在させることもできる。その自由度を活用し、もし旧バージョンのデータ構造を維持しつつ、単純に新規追加の情報を追加格納するような運用を続けたすれば、変化しないという要求を満たしつつ変化することができる。旧バージョンのデータベースを前提としたプログラムからの要求にこれまで通り答えつつ、新バージョンにのみ存在するデータも扱えるわけである。

資産の一元管理と一元提供

データこそが最重要資産と考えたとき、スキーマレスXMLデータベースが果たせる役割は他にもある。それが、資産の一元管理と一元提供だ。

資産として提供する多種多様なデータを持っている場合、たいていの場合それらは多数のデータベースに分散して格納されていることになる。それらのデータを集めて1つの大データベースを作成したいという要求はよくあるのだが、RDBMSではそれを作ることができない。全てのデータを集めた形での正規化が行われていないためである。しかし、スキーマレスXMLデータベースであれば、あらゆるデータベースに格納されたあらゆるデータをかき集め、1つのデータベースに仕立て上げることができる。

このようなデータベースをWebサービス経由で公開し、自由に利用させることができれば大きな利益を生むことができるかもしれない。そして、現実的な意味では、おそらくスキーマレスXMLデータベースを使う方法でしか作ることができない。

これからが正念場となるWeb 2.0

しかし、このような認識は、まだWeb 2.0の世界に広まっているとは言い難い。依然として、RDBMSを用いてサービスを行っているWeb 2.0企業も多い。スキーマレスXMLデータベースを使うしかないとここでは結論づけたのに、なぜRDBMSでサービスが可能なのだろうか。

その理由は、おそらくまだ大きな変化に晒されていないからだろう。大きな変化さえなければ、RDBMSでも十分に乗り切れる。そして、せいぜい数年という短い期間内で見れば、大きな変化が無いか、仮にあっても回数が限られている可能性が高い。そのような場合には、RDBMSで十分に乗り切れる可能性は高い。

だが、Web 2.0の世界は、ただ単に短期的に乗り切れるだけでは十分ではないのだ。短期的に話題を作って株式を上場して儲けて終わる......というのはWeb 2.0以前のITバブル時代の発想だ。そうではなく、長期的に安定してサービスを提供し、とても多くの小さな収益を集めて大きな富を得るのがWeb 2.0的なやり方と言える。それゆえに、Web 2.0サービスは、始めた以上は長期的に安定して変化への要求に対応しつつ継続する能力が要求される。

このように考えたとき、これから起こるWeb 2.0企業の長期戦において、データベース選定が大きな鍵を握るという可能性も考えられる。たとえば、何も考えずにRDBMSでシステムを構築して運用を始めたとき、最初は良くとも長期的に運用を続ける内に変化への要求に対応しきれなくなり、脱落するということも考えられる。

それゆえにあえて言おう。Web 2.0のスタートダッシュの時代に起こったことに目を奪われてはならない。これから来るのは、長期的に続くマラソンの時代である。マラソン時代の強さは、スタートダッシュの強さとは違うかもしれない。そして、人間も社会も変わり続けることが宿命づけられた存在である以上、変化への要求が無くなることはあり得ない。

そのような状況下でもノンストップで疾走し続けることができるデータベースは、変化への対応力に優れたものしかあり得ない。スキーマレスXMLデータベースがその代表選手であることは、おそらく間違いないだろう。

終わり


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